太陽光発電は売るよりビットコインを掘った方が儲かる? 売電価格で損益分岐点を計算してみた



太陽光発電といえば、余った電気を電力会社へ売る「売電」が一般的だけど、FIT価格も永遠に設定されるわけでもないし、もしそうなら別の方法として発電した電力を使ってビットコインをマイニング(採掘)するというというのはどうかと思い至ったので調べてみた。

果たして、本当に売電より儲かるのだろうか。

マイニング機のコスト

現在主流のASICマイナー(ビットコイン専用マシン)は、性能にもよるが30万円前後で購入できる。

代表的なスペックは次のようなもの。

  • 本体価格:約30万円
  • 消費電力:約3.2kW
  • 想定寿命:約4年

4年間フル稼働すると約35,000時間運転することになるため本体価格を償却すると設備コストは約2.7円/kWhとなる。

つまり、マイニングで得られる利益から最低でも2.7円/kWhは差し引いて考える必要がある。

余剰電力なら電気代はゼロと考えられる

通常、ビットコインマイニングでは電気代が利益を大きく左右する。

しかし太陽光発電の余剰電力を利用するのであれば、「捨てるか売るか」という比較になるため、電気代は追加では発生しない。

重要なのは、

「売電収入」と「マイニング収入」のどちらが大きいか

という点。

現在のマイニング収益はどれくらい?

ビットコイン価格や採掘難易度によって大きく変動するが、現在の相場では、電気代を考慮しない場合のマイニング収益はおおむね15~25円/kWh程度と考えられる。

ここから設備償却費2.7円/kWhを差し引くと、

実質的な利益は約12~22円/kWh

となる。

もちろん、ビットコイン価格が急落すれば利益は下がるし、逆に価格が高騰すれば利益はさらに大きくなるのだが。

売電価格との損益分岐点

この試算を売電価格と比較すると、次のようになる。

  • 売電価格20円/kWh以上:売電が有利
  • 売電価格15円/kWh前後:ほぼ互角
  • 売電価格10円/kWh以下:マイニングが有利になる可能性が高い

つまり、卒FITなどで売電価格が10円前後まで下がっている場合はマイニングという選択肢が十分に現実味を帯びてくる。

ただし一般家庭には課題も多い

一方で一般家庭で導入するには課題がある。

まず、ASICマイナーは非常に騒音が大きく、掃除機並みあるいはそれ以上の騒音が24時間続くため住宅街では設置場所を選ぶ。発熱量も大きく冷却対策が必要になる。

さらに、マイニング機は24時間連続運転を前提に設計されている。太陽光だけで昼間のみ運転する場合は稼働率が低下し設備投資の回収期間も長くなる。

そのため家庭用では蓄電池による自家消費の方が有利になるケースも多い。

まとめ

現状ではFIT期間中の高い売電価格であれば売電を選ぶ方が収益性は高い。

しかし卒FIT後のように売電価格が10円/kWh前後まで下がると余剰電力を利用したビットコインマイニングが経済的に有利になる可能性があるようだ。

実際、海外では再生可能エネルギーの余剰電力や出力制御で捨てられる電力をマイニングに活用する事例も増えている。

日本でもFIT制度の縮小が進めば、「電気を売る」のではなく「電気でビットコインを生み出す」という発想が、将来的には新しい選択肢になるかもしれない。