「定年後、何をするつもりなのか?」そんなことを考える機会が増えた。僕は昔からこれといった趣味がない(まあ、プログラミングというものはあるけど)。休日も特に決まったことをするわけではなく、そもそも家事や子供関係が忙しくまとまった時間がないのだが。
そのせいか、周りからは「定年したら暇になるよ」「今のうちに何か趣味を持っておいたほうがいい」と言われることがある。たしかに、それはもっともな話だと思う。
でも、ちょっと待てと思ったりする。
僕はかなりの飽き性なので、今から何か趣味を始めたとしても、たぶん長くは続かないだろう。せいぜいもって2年くらいじゃないかなと思っている。
そう考えると、今のうちにいろいろな趣味を始めてしまうのは、むしろ定年後の楽しみを前倒しで消費してしまうような気がする。
たとえば登山を始めたとして、最初のうちは道具を揃えたり、行く場所を探したり、実際に山へ行ったりして、それなりに楽しめるだろう。でも2年も経てば「もういいかな」となっているかもしれない。
キャンプを始めても同じで、たぶん最初はテントや道具を選ぶところから楽しい。でも、やっているうちにたぶん飽きる。いやな面が多々見えてしまうからだと思う。(キャンプなら例えば虫とかね)
そうやって今から次々と趣味を消化していったら、定年を迎える頃には「やりたいことはだいたいやった」という状態になってしまうんじゃないかなと。
それなら、僕は今は何もしないほうがいいんじゃないかと思っている。
そもそも趣味というのは、始めた当初が一番面白いものなのかもしれない。何も知らないから新鮮だし、道具を買ったり、情報を集めたり、実際にやってみたりすること自体が楽しい。だったら、その「一番面白い時期」を定年後に残しておけばいいんじゃないかなと。
例えば、定年したらまずは体力があるうちに、体を使う趣味から始める。登山とか。今まで本格的にやったことがないから、始めればそれなりに新鮮だろう。ソロキャンプも面白そうだし、スポーツジムに通うというのもありだと思う。パワー系はとにかく体力のある最初のうちに始めるべきだと思う。
で、こういうものは永遠には続かない。体力が落ちてくれば、山に登るのもしんどくなるだろうし、外で活動すること自体が面倒になるかもしれない。
なので、そうなったら今度は知識系の趣味に移ればいいと思っている。
たとえば史跡を訪ねてみるとか。歴史を少し勉強してから実際に現地へ行けば、今まで何とも思わなかった場所でも面白く感じるかもしれない。
高校や大学が一般向けに開催している公開授業に参加するのもいいかも。定年後なら時間は今よりずっとあるだろうから興味のある講座を見つけて、気軽に参加してみるのも楽しそう。
こう考えると、趣味は一つを何十年も続ける必要はない。登山に飽きたらキャンプ。キャンプに飽きたら歴史。歴史に飽きたら公開授業。そのうち別のことに興味が移る。むしろ僕の場合は、そのくらいでいいと思っている。
「定年後のために今から趣味を持とう」と言われると、なんとなく今のうちに準備しておかなければならないような気になる。
そうじゃなく、僕は逆に今は何も残しておきたい。
定年後に「さて、何をやろうかな」と考えるところから始めたい。そのときの体力や気分に合わせて、その時点で一番面白そうなものに手を出せばいい。そして飽きたらまた次を探せばいい。
たぶん僕は一つの趣味を一生続けるタイプではない。だからこそ今から趣味を作るのではなく、定年後に趣味を順番に消費していくくらいでちょうどいいんじゃないかなと思っている。
そう考えると、今のところ「趣味がない」ということを、あまり心配する必要もないと思い至った。
