ロボットに仕事をやらせて遊んで暮らせる時代なんて残念ながらやってこない

僕はこの考えには正直懐疑的で、さすがに夢見すぎだろうと。

もっとも、ホリエモンのような起業家って視点が一般人よりぶっ飛んでいるので（だからロケット事業なんかに投資できるわけで）、それを懐疑的に見ている僕は所詮凡人なんだけど。

ただ、彼に追随する僕と同じレベルの凡人たちが「人工知能が人間の代わりに働いて人は遊んで暮らせる」って話に食いついているのがちょっと痛々しく思えて仕方なくて、そういう人たちってもうあと10年くらいで実現するんじゃないかって勝手に期待しちゃっているんじゃないかな。

最近、こんな記事を見かけましたが、具体的な流れまで紹介したり結構具体的に書いていますね。

ロボットに仕事はぜんぶ任せよう。人間は給付金で遊んで暮せばいい
https://www.mag2.com/p/money/520573

企業は業務の大半をAIロボットに置き換える
↓
ロボットには人件費がいらないので、企業の利益は増える
↓
その企業が納める法人税も増える
↓
その法人税を原資に、政府はすべての国民に一律のお金（＝ベーシックインカム）を給付する
僕はこの記事を読んで、「あり得るな」と思いました。

ないない！ あり得ない！

断言していいですが、こんな世界はそうそうやってきません。

こう見えても僕は仕事柄機械を多く扱う立場にいます。そんな僕から見たらそんな簡単にロボットを導入して手放しで生産活動をしてもらうって、あまりにも難易度高すぎだと思っています。

なぜ介護現場でロボット化が進まないのか？

前出の記事の問題は「ロボットには人件費がいらないので、企業の利益は増える」ってところです。

これが本当なら現時点ですでに進んでいるロボットがもっと世に出ていないとおかしいです。

それこそ、採算的に厳しい小売や飲食業なんかの業界では積極的にロボットを導入して人件費を抑えているはずです。

料理を作ったり配膳したりするロボットなら今の技術で十分です。


過酷で低賃金で知られている介護現場なんかは典型的な業界で、介護ロボットの開発はかなり進んでいます。


こんなロボットが人の仕事を肩代わりしてくれるなら、今頃飲食業や介護業はどんどんロボットを導入して利益がバンバン出て儲かってしょうがないはず。

しかし、実際はそうではないですね。

世の中にこんなすごいロボット技術がありながら導入する様子がありません。なぜでしょう？？

ロボットの導入には多額の投資が必要だし投資効果も期待できない

採算の記事シイ介護業界や飲食業界がロボットを導入しないのはロボットの費用がバカ高いからで、導入したくても導入できないからです。

それでもロボット導入によって利益が大幅に増えるならすぐに回収できるはずです。投資利益率が高ければ銀行もすぐにお金貸してくれます。が、実際はそうなっていません。

ロボットを入れたらおそらく数億円レベルの投資になります。

仮に資金調達できたとしても毎月500万円くらいの減価償却費を計上する必要があります。人件費よりかかりますね。

じゃあ、減価償却が終わる5〜7年後にはガッポガッポ儲かるかっていうとそんな甘くはなく、その頃になったら故障多発で保守費用が嵩むこと間違いありません。

高性能な機械ほど故障しやすいし耐用年数も短いです。

昔の単純な設備は20年経っても現役なケースは多々ありますが、最新のコンピュータが入った設備は10年経つと結構ダメになります。これ、僕の経験則です。

ついでに書いておくと、その機械を保守するエンジニアが不足すると思います。で、ロボットが広まった世界では保守エンジニアの給料が高騰化すること予測しておきましょう。

ロボットを開発するエンジニアより、保守するエンジニアの方が重要になります。

それに、僕も経験あるけど機械の保守って過酷なんです。壊れたら休日だろうが夜中だろうが呼び出されるって経験あります。病院で言ったら救急救命みたいなもんですから。

結局のところ、ロボット化は進むかもしれないけど、言うほど利益が上がらず働かない人にお金が行き渡るほど改善しないというのが現実的なのです。

そもそも給付だけで生活する働かない人を我々は許せるだろうか？

今、生活保護者がパチンコやギャンブル行ったくらいで怒る人が大勢います。

ちょっと贅沢するのすら許されないんですね。

そんな性格の日本人が、将来仮にロボットが人の代わりに働いてくれて給付金だけで生きていく人たちを許せるかって言うと無理でしょう。

結局、今の生活保護の枠組みから外れない程度の給付制度に落ち着くんじゃないかと。

パチンコやギャンブルなんかやったら怒られるし、車なんか購入したら通報されます。

みんな楽観的にユートピアを想像しているみたいだけど、ロボット導入の費用の面もそうだし、仮にそれをクリアしたとしても日本人そのものが阻害要因になってしまいますね。