ちょくちょく問題視される「非正規雇用」という雇用形態ですが、格差を生む元凶とされています。僕もそう思います。
野党も「派遣労働法反対」と声荒げていますが、それを見て僕はいつもモヤモヤしているんです。
それは、この問題が「短期雇用」と「低賃金」の2つの問題が混在していて、反対する人はどっちに主軸を置いているのかよくわからないというか、反対する本人たちもごっちゃにしている感じがします。
もちろん両方問題視するべきなんだろうけど、軸が2つあると主張が全体的にぼやっとしてしまって弱くなるんですよね。これが反論側の問題なんじゃないかと思います。
政府が派遣労働法を改正しようとすると、毎回「そこだけ」に反対し、で、毎度押し切られるという。だから、反対のために反対と言われてしまうんだろうなと思います。
残念だけど非正規雇用形態はなくならないよ
以前Twitterでも書きましたが、企業は非正規雇用という労雇用形態は絶対になくさないと思います。なぜかというと、企業は繁忙期と閑散期とで人員を増減させたいからです。何回か経験した不況による人員整理のトラウマが企業側に根強くあるのです。
ITバブル崩壊、リーマンショック、3.11と、この時の人員整理は企業側もかなり疲弊したし、僕も一介のサラリーマンとしてその渦中にいました。
「企業」と言ってしまうと、何か巨大な権力機構のように思いがちですが、結局のところ人間の集団でしかないので、企業=中にいる人間です。
企業のトラウマと書きましたが、残っている人たちのトラウマであって、僕もその1人でもあるわけです。(人事に関わっていないとしても)
だからこそ、繁忙期にピンチヒッターとして短期に人を確保したいという企業の(つまり中の人の)要望は根強いんです。
非正規雇用問題の解決は「低賃金」1本にしぼるべき
ところが、この非正規雇用問題を複雑にしているのが(ほとんどの人が複雑と思っていないんだろうけど)、非正規雇用で雇った人がほぼ「低賃金」だってことなんです。それが格差につながって、「ワーキングプアー」という言葉を生み出しました。
僕は問題はここだけだと思っています。
例えばアパートで言えば、通常のような長期契約のアパートよりもウィークリーマンションの方が家賃は高いです。短期しか住人を確保できないので家賃は割増になります。アパートだけじゃなくいろいろな契約では短期契約の方が割増になるのが一般的です。
それがもしウィークリーマンションの方が「家賃が安い」のなら、みんな長期契約なんかするはずもなく、みんな短期契約に集まります。誰だって「低コスト」で「低リスク」を選ぶのはあたりまえですね。
でも実際は、ウィークリーマンションの方が割高です。そりゃそうです。短期契約しかできないんなら、その分を家賃に上乗せするのが当たり前なんです。
非正規雇用だってそれと同じで、正規雇用よりも企業側が低リスクを享受できた分だけ賃金を上乗せするのが本来の姿なんじゃないでしょうか。
よく、雇用問題でも「市場原理」って言葉を使う人いるけど、市場原理に従うならば、派遣労働者の方が高単価であるべきなんです。
非正規雇用制度に反対している人に言いたいこと
がんばっているのはわかるけど、政府が憲法改正を打ち出せばそれに反対し、原発を稼働しようとすればまたそれに反対という、毎回「単純な反対」ばかりで、与党が単純に気にくわないだけ、という風にしか見えないんですね。せめて、労働派遣法くらいは、労働派遣法自体は反対しないけど最低賃金を上げるよう求めるとか、そんな対案の仕方があるんじゃないかと。
労働派遣法そのものは賛成するけど、最低賃金制度に非正規雇用者の枠を設けて一般より単価を上げるのが条件にする…とか。
そんな動きを野党がしてくれたら支持するんだけどな。