USDJPY予測2週目:パラメータ探しで見えた「過学習の罠」



前回、1週目の予測結果とそこから見えた課題(サンプル数不足、未決済ポジションの扱い、 コスト未考慮)を報告した。今回はデータ収集を4時間おきから1時間おきに変更し、 2週目の結果とそこから浮かんだ「もっと勝てるロジックはないか」という検証についてまとめる。

今週の相場環境

今週は9月2日〜3日にかけて、約460pipsという大きな一方向の下落が発生した。 週の始値159.633から週末には156.221まで下がり、単純な差分でも-341.2pipsだった。予測ログでも、この期間は「direction」が"down"に大きく偏ってた(全125件中90件がdown)。 先週がどちらかというとレンジ気味だったのに対し今週ははっきりとしたトレンド相場だった。

検証1:エントリー・イグジット閾値の最適化は罠だった

「強度スコアの閾値を変えたら、もっと良い成績になるのでは」と思い、 エントリー閾値・イグジット閾値の組み合わせを総当たりで試してみた。

設定今週の成績
entry閾値15 / exit閾値1(今週の最良)+269.1 pips(3トレード)
entry閾値5 / exit閾値1(従来ルール)+162.0 pips(6トレード)
参考:ずっとdownで持ちっぱなし(後知恵)+341.2 pips


一見、閾値を15まで上げた方が良い成績に見えるが、この「最良の設定」を先週のデータにそのまま当てはめてみると様子が一変する。

設定先週(レンジ気味)に当てはめた場合
entry閾値15 / exit閾値1(今週の最良)0 pips(トレードが1回も発生せず)
entry閾値5 / exit閾値1(従来ルール)+109.1 pips(先週はこちらが最良)


今週「最強」に見えた設定は、先週の相場では強度がそこまで高まる場面がなく、一度もエントリーしないという結果になる。つまり、「その週にたまたま ベストだった設定」は、相場の性質(トレンドかレンジか)が変われば簡単に通用しなくなる ということ。

典型的な過学習(オーバーフィッティング)で、1〜2週間のデータから パラメータを決め打ちするのは危険だと再確認た。

検証2:損切り+同方向への即時再エントリーは有効か

今週、direction通りにエントリーしたものの当初は含み損になった場面があった。「長く持つとニュース相場に巻き込まれるリスクがあるので、一定の含み損で一度手仕舞いし、すかさず同じ方向に入り直す」というロジックを試してみた(ポジション保有中は 追加エントリーせず手仕舞い後にのみ新規に入り直す仕様)。

損切り幅先週(レンジ気味)今週(大トレンド)
5 pips+94.7 pips(損切り7回)+210.5 pips(損切り28回
10 pips+78.5 pips(損切り4回)+180.5 pips(損切り18回)
15 pips+63.5 pips(損切り4回)+150.5 pips(損切り15回)
20 pips+69.1 pips(損切り2回)+130.5 pips(損切り12回)


今週に関しては、損切り幅5pipsのケースで従来ルール(+162.0pips)を上回る +210.5pipsという結果になった。ただし、これも手放しでは喜べない。

  • 今週だけで損切りが28回発生している。 スプレッドや手数料などの取引コストを一切考慮していないシミュレーションなので、 実運用ではこの分だけ利益が目減りする
  • スリッページのリスクを考慮していない。 このシミュレーションは損切りラインぴったりで約定した前提だが、対策したいはずの 「ニュース相場」こそ、実際の損切り注文はスリッページ(不利な価格での約定)が 起きやすい場面。守りたい場面で守りが一番弱くなる可能性がある
  • 方向が正しかったから機能した側面が大きい。 今回は下降方向の判定が結果的に当たっていたため、損切り→再エントリーを 繰り返すたびに下落を階段状に拾えた。もし方向判定が外れていた場合、 同じ方向に何度も突っ込んでは損切りを繰り返す「連続被弾」になり得る

今週分かったこと・今後の方針

2週分のデータを比べただけでも、「その週にベストだった設定」が次の週には まるで通用しない、という事実がはっきり見えた。これはむしろ収穫で、拙速にパラメータやロジックを変えることの危うさを裏付ける結果になったと思う。

  • 現状のルール(entry閾値5 / exit閾値1、損切りロジックなし)は変更しない。 今回試した「良さそうな」設定変更は、いずれも直近数週間のデータへの過学習の 疑いが強いため採用を見送る。
  • 損切り+即再エントリーのアイデア自体は保留、継続検討。 方向性としては理解できるが、コストとスリッページの実態を見極めるまでは導入しない。
  • 来週も同じ条件でログを取り続け、検証を継続する。 トレンド相場・レンジ相場それぞれのケースが複数貯まってから改めてロジックの見直しを検討する。

派手な成績が出た週があってもそれだけで飛びつかない。地味ではあるがこれが一番の近道だと感じている。引き続き来週の結果も報告していきます。