togetterまとめサイトに「“プロジェクトX”が経営者たちに『仕事の為に社員が徹夜したり無理をすると凄い成果が出る』という考えを植え付けてしまった可能性について」という記事がアップされていて、多くの人が賛同していたので、ちょっと反論してみます。
この考察はちょっと違う。後でブログ書く— satoshi@非IT系プログラマ (@satoshiU71) July 9, 2017
“プロジェクトX”が経営者たちに『仕事の為に社員が徹夜したり無理をすると凄い成果が出る』という考えを植え付けてしまった可能性について - Togetterまとめ https://t.co/r0xdZT8nTE @togetter_jpから
このまとめに多くの人が賛同しているのですが、特に気になった投稿をピックアップ(転載)するとしたら以下の2つかな。
デスマーチで成果をあげるって発想は確かに植えつけられました。TVの悪影響ですね。ヤクザ映画や薄い本よりはるかに有害ですね。
今思えば、現在の日本の異常な雰囲気は、あの番組が放送開始されたあたりからおかしくなったような気がしますw
かつて日本はすべての企業がブラックだったという事実
僕は25年サラリーマンやっていますが、勤めているのがいわゆるホワイト企業だったのが幸運・・・と言いたいところですが、現在ホワイトと名高い企業でも、かつてはワタミも真っ青なほどブラック企業だったんです。僕の勤めている会社もそうでした。深夜残業はほぼ毎日22時が定時みたいな感覚で、今日はちょっと遅いな~と思った時は時計は比をまたいでいたくらいです。徹夜もちょいちょいありました。
休日出勤も普通にあり出勤すると事務所は平日とほぼ同じ光景でしたね。僕は休みは3か月に1日程度でしたね。
それで残業代は5時間くらい。
僕が務めていた会社だけじゃないんです。日本中の会社がそうだったんです。
ただ、みんながみんなそうだったから、不思議に思わなかっただけですね。
プロジェクトXがそうさせたんじゃないんです。もともとそうだったんですよ。日本は。
企業は時代の流れを読みホワイト化していった
時が流れて、働き方改革やライフワークバランスが注目されるようになってきます。僕の感覚では2000年代に入ってからかな。ITバブル崩壊して企業が仕事がなくヒマになって、帰休とか早期退職とかやるようになったあたりかなと思います。当時はワークシェアリングなんて言葉もありました。
儲からなくなったから人件費を抑える方便で出てきた言葉ですが、この辺りを機に一気に働き方が見直されます。
残業代の未払いが問題化したのはずっと後ですが、機を見るに敏の企業はどんどんホワイト化していったんです。
2000年以降、僕の仕事の時間も大幅に減り、早く帰宅できるようになりました。
人はそんな経験をすると過去のすざまじい労働時間がすごく異常だったことに、後になって気づくんですよね。
時代に乗り遅れた企業がブラックと呼ばれるようになる
どんなところにも時代に乗り遅れるヤツがいるように時代に乗り遅れる企業もあるわけで、昔の感覚を引きずって働き方を変えることをしなかったところがあるのです。まともな企業はサービス残業当たり前の状況から改善するのですが、そこには生産性を上げたり利益を棄損しながら試行錯誤したりと、かなりの努力を経てホワイト化していくわけです。
いま日本にあるホワイト企業はほぼこの軌跡を辿っていると考えて間違いないでしょう。
で、問題はその努力をせず昔ながらのサービス残業当たり前を放置してしまった企業、これら企業を我々は「ブラック企業」と名付けたのですね。
昔は周りがすべてブラックだからあえてブラックとは言われなかったけど、ホワイト化していく中で取り残された企業が際立ってしまってブラック企業と命名された、というのが真相です。
なので、プロジェクトXが原因でブラック化したというのは大きな誤りです。(ホワイト化を怠る言い訳を与えてしまった可能性は否めないけど)
先のTogetterの投稿で一番正しいと思ったのがこれ。
逆じゃないのかな。 そういう観念があったからああいう番組が成立して、さらに言えば正当化の材料にしてしまった。
なぜブラックな働き方を不思議に思わなかったのか?と言われると答えづらいのですが、たとえば、戦時中、国民みんなは戦争が異常だということに気付かなかったわけで、逆に気づいて異を唱えた人は非国民と罵られてしまったわけです。人は周りと一緒だと同調してしまってなかなか気付かないんですね。情けないけど・・・。
逆に今になってもブラックな働き方を正しいと言っている人は、モーレツ社員ではなく単なる時代遅れの老害と言って良いでしょう。